どうも、合同会社スタジオパッチ代表の池本です。
今日は「キャラの仕事で本当に怖いのは、描くことじゃなく契約書だ」という話をします。
結論から言います。
契約書を読めないと、自分が生んだキャラが、自分のものじゃなくなります。
読まずにサインの怖さ
クリエイターに、あるあるの話です。
契約書が送られてくる。
専門用語だらけで、正直よくわからない。
「まあ、大丈夫だろう」
そう思って、サインしてしまう。
このとき、多くの人が見落とす一文があります。
「著作権は甲に帰属する」。
この一文にサインした瞬間、自分のキャラが自分のものじゃなくなるんです。
二次利用もグッズ化も、こっちが許可を取る側に回ります。
「え、自分で作ったのに?」
そう、そういうことが、平気で起きるんです。
実際にあった6つの条項
先日、あるマスコット案件の契約交渉をしました。
先方の修正案に、クリエイター側に不利な条項が6つあったんです。
守秘のため抽象化しますが、こういうものでした。
ロイヤリティの上限。
どれだけ売れても、受け取れる額に天井がつく。
免除範囲の拡大。
「販促用」の名目が広がり、支払い対象が痩せていく。
裁判管轄の変更。
揉めたとき、相手の本拠地でしか争えない。
監査権の弱体化。
売上報告が正しいか確認する手段を奪われる。
解除権の非対称。
相手は簡単に切れるのに、こちらからは切れない。
利用範囲の無限拡大。
想定外の商品に、追加報酬なしで使われる。
全部、地味です。
でも全部、売れてから「ズシン」と効いてきます。
対処のポイントは3つ。
ポイント1:交渉は、喧嘩じゃなく翻訳です。
全部に「NO」を突きつけたわけじゃありません。
条項ごとに、なぜ困るかの根拠を添えて、代替案とセットで返しました。
ボクはテレビの現場で取材交渉をずっとやってきました。
そこで学んだのは、「対立」より「翻訳」だということ。
相手が何を怖がっているかを翻訳できれば、大抵の交渉は前に進みます。
ポイント2:「ひな形なので」は、断り文句じゃありません。
「これ、ひな形なので」と言われても、修正依頼は失礼じゃないんです。
「なるほど、ではここだけ相談させてください」
こう返せばいい。
ビジネスの通常運転です。
ポイント3:地味な条項ほど、後で効きます。
監査権と解除権は、契約時には退屈な条項です。
でもキャラが売れ始めた瞬間、これが生命線になります。
「あのとき読んでおけば」
そうならないために、今日読むんです。
もう一度、結論です
契約書は、全文読んでください。
読めない用語が出たら、そこが一番危ない場所です。
キャラクターは長生きします。
10年後の自分のために、今日の契約書を読み込んでみてください。
実験は続く。
では。
合同会社スタジオパッチ
代表 池本将