どうも、合同会社スタジオパッチ代表の池本です。
今日は「まだキャラクターを持っていない企業」の話をします。
結論から言います。
自社キャラクターは、持った方がいいです。
……ただし身内だけで作ると、高確率でうまくいきません。
よくある始まり方
こういう話、本当によく聞きます。
広報の担当者が「うちも何かマスコットあった方がいいよね」と言い出す。
そしてデザインが得意な社員に声をかけると。
そしたら「じゃあ試しに描いてみます」と快く引き受けてくれる。
数日後、ラフ案がいくつか上がってくる。
「あ、いいじゃん!」
会議室でそんな声が上がって、一番かわいい案に決まる。
名刺の端っこに貼って、SNSのアイコンにして、めでたしめでたし。
……ボクはこの流れ自体は悪くないと思っています。
愛着があるし、コストもかからない。
でも半年後、だいたいこうなります。
半年後によく聞く声
「なんかちょっと違うくない?」
「これ、誰向けだったんだっけ」
「なんか使わないともったいなくない?」
キャラクターはいる。
でも動いていない。
SNSの投稿にたまに出てくるだけで、グッズにもならず、イベントにも呼ばれず、社内の引き出しでズルズルと存在感を失っていく。
これ、なぜ起きるのか。
それは「作った理由がない」からだと思っています。
かわいいから作った。
描ける人がいたから作った。
それ自体は動機として悪くないのですが、「誰に何を伝えるためのキャラクターか」が抜け落ちたまま形だけ決まってしまう。
PIXAR曰く、キャラクターは見た目ではなく「欲求」と「恐れ」で定義されるようです。
この子は何を望んでいて、何を避けたいのか。
そこが決まって初めて、見た目はその器として機能します。
身内制作だと、ここを飛ばして「かわいいかどうか」だけで決まりがちです。
身内制作の3つの落とし穴
理由は3つあります。
1つ目、設計がないまま形だけ決まる。
上で話した通りです。
見た目の好みで決めた瞬間、キャラクターは「誰のために存在するか」を失います。
2つ目、権利の置き場所が曖昧になる。
ディズニーは創業初期、ヒットキャラクターの権利を配給会社に握られて丸ごと失った過去があります。
そこから「自社制作物の権利は一部たりとも渡さない」という徹底につながりました。
身内制作だと、これの逆が起きがちです。
「あの社員が描いたキャラクター、著作権どうなってるんだっけ」
退職したあとに誰も答えられない、という状態です。
最初に権利の置き場所を決めておかないと、育てるほど怖くなるキャラクターになってしまいます。
3つ目、運用の仕組みがない。
ディズニーの構造はシンプルです。
質の高いキャラクターがファンを生み、映画・グッズ・パークへ展開され、その利益がまた次の質に投資される。
この循環があるから資産になります。
身内制作のキャラクターは、たいてい「生む」で止まります。
「作った」で満足してしまい、「これからどう使うか」の設計がない。
名刺に貼って終わり、では循環は生まれません。
もう一度、結論
自社キャラクターは、持つ価値があります。
覚えてもらいやすくなるし、行政や地域と組むときの入口にもなるし、社員の愛着も生まれる。
ボク自身、これまで60体以上のキャラクターに関わってきて、それは実感しています。
ただ、身内の熱意だけで作ると、設計・権利・運用の3つが抜け落ちやすい。
ここだけ外の目を入れれば、キャラクターは長く働いてくれる資産になります。
実験は続く。
では。
合同会社スタジオパッチ
代表 池本将