どうも、合同会社スタジオパッチ代表の池本です。
今日は「社内アンケートでキャラクターデザインを決めること」についてお話しします。
本日も結論からいきましょう。
「多数決」は、キャラクターを殺します。
よくある決め方
新しいキャラクターを作るとき、ラフ案をいくつか用意して、社内でアンケートを取る会社は多いです。
「A案とB案とC案、良いと思うものに投票してください」というやつです。
公平に見えますし、みんなの意見を聞いた気にもなれます。
ボクも依頼を受ける中で、こういう決め方をしている企業に何度も出会ってきました。
その1票、何を基準にしていますか
ここで一つ、疑問が浮かびます。
その投票、何を基準にした1票でしょうか。
「かわいいから」でしょうか。
「なんとなく好きだから」でしょうか。
「部長がAって言ってたから」でしょうか。
実はこれ、全部混ざったまま投票されているケースがほとんどです。
基準がバラバラな1票を集めても、出てくるのは「一番みんなが嫌いじゃない案」です。
一番好きな案ではなく、一番角が立たない案。
無難という名の、誰の記憶にも残らない案です。
ピクサーが多数決をしない理由
PIXAR曰く、優れた作品は「ブレイントラスト」という仕組みから生まれます。
役職に関係なく、監督にも新人にも同じ重さで意見を求める場です。
大事なのは、そこで求められているのが「好き嫌い」ではなく「観客としてどう感じたか」だということです。
「ここで感情移入できなかった」「このシーンで置いていかれた」。
これは評価であって、好みの投票ではありません。
社内アンケートとブレイントラストの決定的な違いは、ここです。
片方は好みを集め、片方は評価を集めています。
根拠を3つ
なぜ社内アンケートがキャラクターを殺すのか。
理由は3つあります。
1つ目、役職が発言の重みを歪めるからです。
匿名アンケートのはずなのに、集計前に「部長はA案が好きらしいよ」という噂が回ります。
途端に投票の空気が変わります。
「まあ、Aでいいんじゃない」。
この一言で、本当は一番良かったB案が消えます。
2つ目、多数決は尖った案を潰すからです。
キャラクーは、10人中10人が80点をつける案より、3人が120点をつける案の方が愛されます。
初対面で好かれるキャラクターより、じわじわ好きになるキャラクターの方が長生きします。
でも多数決では、後者はまず選ばれません。
「ちょっと癖が強いよね」で早々に脱落します。
3つ目、評価の物差しがバラバラなまま集計されるからです。
「デザインの好み」で入れた1票と、「ブランドに合うか」で入れた1票と、「社長に反対しにくいから」で入れた1票が、同じ1票として数えられます。
これでは何を選んでいるのか、誰にも分かりません。
もう一度、結論
多数決は、キャラクターを殺します。
大事なのは、何人が良いと言ったかではなく、何を基準に選んだかです。
「この案は、この会社の何を伝えるためのものか」。
その物差しを先に決めてから、案を並べる。
順番を間違えると、せっかく作った案の中から、一番平凡なものが選ばれて世に出てしまいます。
というわけで、実験は続きます。
では。
合同会社スタジオパッチ
代表 池本将

