どうも、合同会社スタジオパッチ代表の池本です。
今日は「契約」についての話をします。
キャラクターデザインの仕事をしていると、避けて通れないテーマです。
本日も結論からいきましょう。
クリエイターを守るのは、「絵の上手さ」ではなく「契約書」です。
これは確実に言えます。
どれだけいいキャラクターを描けても、契約でその子の権利がどこにあるか決めていなければ、自分の子どもを他人に育てられてしまうことになります。
よくある発注のかたち
単発の案件で、キャラクターデザインを1体納品する。
報酬をもらって、データを渡して、終わり。
よくある形ですよね。
でもこの「終わり」の中に、実は大事な項目が隠れています。
著作権はどっちのものか、という一文です。
契約書の中に「著作権は甲(発注者)に譲渡する」とだけ書かれていて、深く考えずにサインしてしまう。
実はこれ、キャラクタービジネスでは本当によくある話です。
「終わったはず」の仕事が続く不安
ここで感じる「不」があります。
納品して報酬をもらったのに、後からそのキャラクターがグッズになって展開されているのを見かける。
「あれ、これボクが作ったやつだよな」となる。
断れたのか、意見を言えたのか、もう分からない。
そもそも契約の時点で、自分にどんな権利が残っていたのかすら覚えていない。
この「あとから気づく」が一番怖いんです。
揉めたくないから飲み込む、という選択をしてしまう人も多い。
権利の設計が仕事を守る
この不安への答えが、最初の結論です。
契約は「揉めた時のため」ではなく「揉めないため」に交わすものです。
根拠を3つ挙げます。
譲渡とライセンスは別物
1つ目。
著作権の「譲渡」と「利用許諾(ライセンス)」は全く違う契約です。
「譲渡」は権利そのものが発注者に移る。
「利用許諾(ライセンス)」は、権利はクリエイターに残したまま「この範囲で使っていいですよ」と貸し出す形です。
「著作権譲渡」の一文があるだけで、その子はもう自分のキャラクターではなくなります。
「え、そんな違いがあったんですか」と驚くクリエイター、実は少なくありません。
知っているかどうかだけで、選べる交渉の幅が変わります。
権利を失った痛みが企業を作った例
2つ目は、有名な逸話です。
若き日のウォルト・ディズニーは、自身が生み出したヒットキャラクター「オズワルド」の権利を配給会社に握られ、キャラクターごとスタッフまで失いました。
ガクッと崩れるような出来事だったはずです。
そこからディズニーは「自社制作物の権利は一部たりとも渡さない」という方針を徹底するようになりました。
世界最大のキャラクター企業がここまで権利にうるさいのは、意地悪ではなく、痛みを知っているからです。
この話、クリエイター個人にもそのまま当てはまります。
使える範囲を先に文字にする
3つ目。
「グッズ利用はOK」「改変はNG」「二次創作の可否」など、使っていい範囲を先に文字にしておくことです。
口約束で「まあ好きに使っていいですよ」と言ってしまうと、後で「そこまでのつもりじゃなかった」がお互いに起こります。
言った言わないでズルズルもめるくらいなら、最初に一文足しておく方がずっと楽です。
範囲を決めることは、相手を疑うことではありません。
お互いが安心して長く付き合うための準備です。
もう一度、結論
キャラクターを守るのは、「絵の腕前」ではなく「契約書」です。
譲渡とライセンスの違いを知ること。
権利を失う痛みを知ること。
使える範囲を先に文字にすること。
この3つを押さえておくだけで、案件のリアルはずいぶん違って見えてきます。
絵を描く力を磨くのと同じくらい、契約を読む力も、クリエイターの武器です。
というわけで、実験は続きます。
では。
合同会社スタジオパッチ
代表 池本将

