どうも、合同会社スタジオパッチ代表の池本です。
今日は「オープンIP戦略」の話をします。
本日も結論からいきましょう。
キャラクターの権利は「全部閉じる」か「全部開く」かの二択じゃありません。
どこを守ってどこを開けるか、その線引きこそが設計です。
全部閉じる…の罠
キャラクターを持つ企業や自治体からよく聞くのが「使っていい範囲が分からないから、とりあえず全部禁止にする」という話です。
ロゴの色を変えるのもダメ、SNSでイラストを描くのもダメ、グッズにするなんてもってのほか。
気持ちは分かります。
炎上が怖いし、勝手に使われて変な印象がついたら困る。
でも、これをやるとキャラクターはただの飾りになります。
誰も触れない、誰も広めない、静かに忘れられていく。
ボクはこの「守りすぎて死ぬ」パターンを何度も見てきました。
じゃあ逆に全部オープンにすればいいのか。
それも違います。
名前もデザインも自由に改変されたら、キャラクターの人格がバラバラになる。
「あれ、この子ってこういう性格だったっけ」と誰も分からなくなった瞬間、ブランドとしての価値は消えます。
「こみゃく」が教えてくれたこと
大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」は、発表直後こそ賛否が分かれました。
でも会場が開いてからは人気が逆転して、愛されるキャラクターになっています。
面白いのはその周辺です。
万博のデザインシステムは、クリエイターをガチガチに縛るルールではなく「様々な人が関わることで拡張と共創が生まれる土壌」として設計されていました。
その開放性から生まれたのが、派生キャラクターの「こみゃく」です。
管理しすぎなかったから、新しい人気が自然発生した。
これ、キャラクタービジネスの本質を突いていると思います。
核となる部分はきっちり守られている。
でも周辺は「触っていい」という余白があったから、ファンや制作者が自分の熱量で広げてくれた。
地図を作るという発想
ここでグッズ制作会社や自治体の担当者側に立ってみます。
「このキャラクター、ここまでなら使っていいですか」と毎回聞くのは正直しんどい。
監修に時間がかかる、返事が来ない、結局間に合わなくて企画がしぼむ。
「もっと早く分かってたら」という声、業界にいるとよく耳にします。
この不を解決するのが、「契約書」ではなく「ガイドライン」です。
契約書は「揉めた時のための盾」ですが、ガイドラインは「迷わないための地図」。
色はこの範囲、表情はこの型を崩さない、名前の表記はこう、といった「守るべき核」を先に見せておく。
そのうえで「この範囲は自由にどうぞ」と周辺を開けておく。
そうすると現場の判断が速くなります。
「これは聞かなくても大丈夫だ」とすぐ分かるからです。
ガクッと止まっていた企画が、地図一枚でスッと動き出す。
ボクがキャラクターデザインの設計図を作るときも、絵そのものより先にこの「核と周辺の線引き」から考えます。
見た目を格好良くすることより、こっちの方が長く使われるキャラクターを作る近道だからです。
もう一度言います。
オープンIP戦略とは、閉じるか開くかを選ぶことではありません。
核を守り、周辺を開き、その境界を地図として渡すこと。
これができているキャラクターは、作った本人がいなくても勝手に育っていきます。
というわけで、実験は続きます。
では。
合同会社スタジオパッチ
代表 池本将

