どうも、合同会社スタジオパッチ代表の池本です。
今日は「キャラクターデザインの見積もりと価格の決め方」についてお話しします。
本日も結論からいきましょう。
キャラクターの値段は、作業時間では決まりません。
決まるのは「設計の深さ」と「使われる範囲」です。
「1枚いくら?」の壁
クリエイターをやっていると、必ずこの質問にぶつかります。
「このキャラクター、いくらでできます?」
そして依頼者の頭の中には、だいたい相場の目安があります。
イラスト1枚5,000円、ロゴと同じくらいの感覚、みたいな相場です。
断る理由もないので、ラフを2〜3枚出して、色を塗って納品。
作業時間で考えれば、確かにその金額は妥当に見えます。
その値付け、何かおかしくないか
でもここで、ちょっと立ち止まってほしいんです。
そのキャラクターは、この先どこで使われるんでしょうか。
名刺だけなのか、SNSのアイコンだけなのか、それとも将来グッズになったり、着ぐるみになったり、企業のロゴ代わりに何年も使われ続けるのか。
作業時間は同じでも、この先の使われ方はまったく違います。
時間で値段をつけると、この差がまるっと無視されてしまう。
「安く済んだ」と喜んでいた依頼者が、後で「このキャラクター、もっとちゃんと考えて作ればよかった」とガクッと肩を落とす。
これ、キャラクタービジネスで本当によくある話です。
見積もりは「設計」と「用途」で決める
ここが①②の結論とつながります。
見積もりは「絵を描いた時間」ではなく、「そのキャラクターにどれだけの思考を積んだか、そしてこの先どこまで使われる想定か」で決めるべきだとボクは考えています。
理由は3つあります。
① ラフ1枚の裏に、没案が何十枚もある
ピクサーの作り方でよく語られるのが「同じ物語を2回、3回、30回練り直して初めてひらめく」という姿勢です。
キャラクターデザインも同じで、世に出る1枚の裏には、形が決まらず捨てた没案が何十枚も転がっています。
見えているのは最後の1枚だけですが、値段の根拠はその「捨てた枚数」の中にあります。
「これでいいじゃないですか、可愛いし」と言われても、その一言だけでは判断材料が足りない。
シルエットで誰か分かるか、正面と横顔で印象がブレないか、着ぐるみになったときも成立するか。
そこまで詰めて初めて、1枚の価値が生まれます。
② 権利をどこまで渡すかで、価格の意味が変わる
ここは契約の話とも重なるので深くは触れませんが、「買い取り」なのか「使用許諾」なのかで、同じデザインでも値段の意味合いはまったく違います。
作った側が今後一切使えないなら、それは高くて当然です。
③ 単発の値段と、育てる値段は別物
ディズニーの歴史を見ても分かる通り、質の高いキャラクターは映画から本、グッズ、パークへと展開されて、初めて生涯価値(LTV)を発揮します。
最初の1枚だけを見て値段をつけると、この先の展開分がごっそり抜け落ちてしまう。
「うちは名刺に使うだけなので」と言われた依頼が、1年後に「実はゆるキャラクターグランプリに出したくて…」と広がっていくケースも珍しくありません。
最初の設計段階で、この先の展開まで見据えて価格の幅を提示しておく。
これが、後から揉めないための一番の予防線です。
もう一度、結論
キャラクターの値段は、時間では決まりません。
捨てた没案の枚数と、この先どこまで使われるか。
この2つを依頼者にちゃんと説明できるかどうかが、見積もりの質を決めます。
というわけで、実験は続きます。
では。
合同会社スタジオパッチ
代表 池本将

