どうも、合同会社スタジオパッチ代表の池本です。
今日はキャラクターの「口調と一人称の決め方」についてお話しします。
本日も結論からいきましょう。
口調や一人称は「このキャラクターはどんな性格か」から決めるものではありません。
「このキャラクターは誰に向かって話しているか」から決めるものです。
よくある決め方の順番
キャラクターデザインの相談を受けていると、口調の決め方には割とお決まりのパターンがあります。
性格を先に決めて、そこから語尾を当てはめるやり方です。
「元気な子だから語尾は『〜だよ!』」「賢いキャラクターだから一人称は『私』」。
一見理にかなっているように見えますよね。
でも、これをやると起きる現象があります。
どのキャラクターも似たような喋り方になるんです。
元気系は全部「〜だよ!」。
クール系は全部「僕は」で淡々と話す。
並べてみると、シルエットは違うのに声が同じ、みたいなことが普通に起きます。
違和感の正体
ここで感じる違和感は何かというと、語尾や一人称をいくら変えても、キャラクターの輪郭が立ってこないという不満です。
「なんか薄いな」「量産型っぽいな」という感覚、デザインの現場では本当によくあります。
これ、原因は語尾の選び方が甘いからではありません。
順番が逆だからです。
性格から語尾を当てはめると、性格という抽象を、語尾という具体に翻訳しただけになります。
翻訳は翻訳でしかなくて、そこに関係性という軸が抜けているんです。
結論:関係性から逆算する
答えはシンプルです。
口調と一人称は、性格の翻訳ではなく「誰に向かって喋っているか」という関係性の設計から作ります。
同じキャラクターでも、子どもに話しかける時と、大人の決裁者に説明する時では、選ぶ言葉が変わって当然ですよね。
その「誰に向けて存在しているか」を先に決めてしまえば、口調は自然と決まってくる。
逆に言うと、口調から先に決めたキャラクターは、誰に向けて話しているのか最後まで曖昧なままになりがちです。
根拠を3つ挙げます。
一人称は距離の設定
一人称は、聞き手との距離を測る目盛りです。
「ボク」は親しみと少しの幼さを含みます。
「私」は少し畏まった距離を作ります。
「俺」は仲間内の近さを演出します。
ボク自身、発信では一人称を「ボク」に統一していますが、これは性格設定というより、読者との距離を近くしたいという関係性の選択です。
企業のキャラクターの一人称を決める時も同じで、「このキャラクターは、子どもの目線に立ちたいのか、専門家として少し上から教えたいのか」を先に決めれば、一人称は自動的に絞られます。
語尾は誰の耳に届けるかで決まる
語尾も同じです。
子ども向けのキャラクターが「〜であります」と話したら、聞き手は「なんか難しい人」と受け取ります。
逆に、行政の説明役のキャラクターが「〜だよ〜ん」だと、大事な情報が軽く見えてしまう。
「これ、ちゃんと聞いていいやつ?」と受け手に疑わせてしまったら、その時点でキャラクターは仕事を果たせていません。
語尾は性格を飾るものではなく、聞き手が身構えずに情報を受け取れる温度調整の道具です。
一貫性より「揺れの許容範囲」を決める
もう一つ大事なのが、口調は完全に固定しなくていいという話です。
人間だって、友達と話す時と上司と話す時で言葉遣いは変わりますよね。
キャラクターも同じで、「相手が子どもの時はここまで砕ける」「フォーマルな場ではここまで整える」という揺れの範囲を先に決めておくと、長期運用でブレなくなります。
ガチガチに一言一句固定すると、SNS運用やイベント原稿を書く人が毎回「これ言っていいんだっけ」と迷って、結局キャラクターが動かなくなる。
現場で止まってしまう一番の原因は、実はここにあります。
もう一度結論です。
口調と一人称は、性格の飾りではありません。
誰に向かって、どんな距離で話しかけるキャラクターなのか。
それを先に決めれば、言葉は後からちゃんとついてきます。
というわけで、実験は続きます。
では。
合同会社スタジオパッチ
代表 池本将

