どうも、合同会社スタジオパッチ代表の池本です。
今日は行政案件の現場で学んだことについてお話しします。
ボクはこれまで愛知県で、移住促進や海産物のPR、1400人規模のイベントなど、行政まわりの案件を複数ディレクションしてきました。
そこで一番痛感したのが「決裁者が一人じゃない」という現実です。
結論はシンプル
本日も結論からいきましょう。
行政案件で大事なのは、絵のクオリティより先に「誰の合意を取る設計か」を決めることです。
企業のキャラクターデザインなら、担当者一人がOKすれば進みます。
でも行政は違います。
担当課、上長、他部署、場合によっては議会や地元の団体まで、判断に関わる人が何層にもなっています。
よくある「不」
この構造、実はクリエイター側からするとかなりのストレスです。
「もっと親しみやすく」「みんなに好かれる感じで」という言葉、行政案件では本当によく出てきます。
一見やさしい要望に見えて、これがいちばん厄介です。
なぜなら「みんな」の中身が誰なのか、誰も明言してくれないからです。
子どもなのか、高齢者なのか、移住検討中の若い世代なのか。
ターゲットを絞らないまま「みんなに好かれる」を目指すと、結局は角の取れた無難なデザインに着地します。
そして無難なキャラクターは、誰の記憶にも残りません。
作った側は疲弊し、発注した側も「思ってたのと違う」となる。
これ、行政案件で本当によくある話です。
だから設計を先にやる
この「不」への答えが、冒頭の結論につながります。
ビジュアルを見せる前に、まず「誰の欲求と誰の恐れに応えるキャラクターか」を言語化して、関係者全員に同じ絵を頭の中に描いてもらう。
これをやらずにラフを出すと、担当課はA案が好きで、上長はB案が好きで、地元団体はC案を推す、という分裂が起きます。
合意形成の土台を先に作ってから絵に入る。
順番を間違えないことが、行政案件では一番の技術だとボクは思っています。
根拠は3つ
1つ目は、決裁者ごとに「刺さるポイント」が違うからです。
上長は費用対効果を見ます。
担当課は住民からの反応を気にします。
地元団体は「うちの地域らしさ」があるかを見ます。
この3つを1枚のビジュアルだけで満たそうとすると、だいたい破綻します。
先に「このキャラクターは何のために存在するのか」を短い言葉にまとめて、全員に共有しておく。
それだけで「なんかちょっと違う」という漠然とした反対意見が減ります。
2つ目は、「かわいい」の基準が世代でバラバラだからです。
担当者から「もっとかわいく」と言われて、若い担当者のイメージするかわいいと、決裁者である年配の方がイメージするかわいいは、まったく別物だったりします。
「かわいいって、具体的にはどのあたりですか」と一段掘り下げて聞くようにしています。
目なのか、色なのか、動きなのか。
漠然とした形容詞を、具体的なパーツの話に変換する作業が要ります。
3つ目は、行政案件は「完成して終わり」じゃないからです。
キャラクターを作った後、実際に着ぐるみになったり、パンフレットに載ったり、SNSで発信されたりと、運用フェーズが長く続きます。
「これ、着ぐるみにしたらどうなりますか」という質問は、制作の初期段階でほぼ必ず出ます。
そこで「立体化は考えてませんでした」となると、後から作り直しになる。
最初から運用まで見据えて設計しておくのが、結局いちばん近道です。
もう一度、結論
行政案件のリアルは、絵の技術よりも合意形成の設計力が問われる現場だということです。
関係者が多いからこそ、先に言葉で握っておく。
それができれば、ビジュアルの議論はずっとスムーズに進みます。
というわけで、実験は続きます。
では。
合同会社スタジオパッチ
代表 池本将

