どうも、合同会社スタジオパッチ代表の池本です。
今日は「ご当地キャラクターに学ぶ、愛される設計」の話をします。
本日も結論からいきましょう。
愛されるキャラクターを分けるのは、発表直後の「見た目の良し悪し」じゃありません。
発表されたあと「どれだけ作り込み続けるか」です。
第一印象は覆せる
ある万博の公式キャラクターは、発表された当初、正直かなり評判が悪かったんです。
SNSでは「気持ち悪い」「怖い」という声があふれました。
ボクもそのニュースを見て、大変だろうなと思った記憶があります。
でも開幕後、風向きが一気に変わりました。
「なんか愛着湧いてきた」「かわいく見えてきた」という声が増えて、人気が逆転したんです。
ここで多くの人が疑問に思うはずです。
見た目は変わっていないのに、なぜ評価が変わったのか。
企業や自治体の担当者は特に、発表直後の反応に一喜一憂しがちですよね。
「叩かれた、失敗だ」「褒められた、成功だ」と、その瞬間だけで判断してしまう。
でも本当の勝負は、発表の後にあります。
見た目の先にある仕事
そのキャラクターを手がけたデザイナーは、絵本作家としても活動している方で、頼まれていない仕事まで人知れずやり込んでいたそうです。
この「頼まれていないことをやる」が、愛される設計の核心だとボクは考えています。
根拠は3つあります。
1つ目は、粘土でモックアップを作り、数十パターンのポーズを描いたこと。
平面のロゴを、立体で、動く前提で検証したんです。
「このポーズ、可愛く見えるか」「この角度から見たらどうか」を、紙の上だけで判断しなかった。
キャラクターは静止画で終わらない。
動いて、生活の中に現れて、初めて愛される対象になります。
2つ目は、性格を考えて絵本まで作ったこと。
ロゴのような無機質な存在に、「この子は何を考えているのか」という物語を後付けで与えたわけです。
見た人が「へえ、そういう子なんだ」と思える余地を作った。
設定を作り込むほど、見た目の違和感は「個性」に変わっていきます。
3つ目は、着ぐるみの調整のために何度も現地に通ったこと。
図面上は完璧でも、実際に着て動くとぎこちなかったり、目線が合わなかったりする。
「あ、ここ動かしにくいですね」というスタッフの一言を拾いに、何度も足を運んだ。
運用の現場まで見届ける姿勢が、最終的な仕上がりを支えています。
ご本人はこう振り返っています。
「丁寧に、魂を込めてつくっていると、時間が経っても魅力が人々に伝わる」。
これ、キャラクター設計の本質をすごく素直に言い当てていると思います。
第一印象の批判は、作り込みの総量と時間が覆すんです。
三つの作り込みが差になる
もう一つ付け加えると、このキャラクターはロゴ・名称・キャラクターが別々の公募で生まれた「みんなで作った」存在でした。
普通なら統一感がなくてバラバラになりそうな成り立ちですが、それを逆手に取って、既にあった強いロゴの個性を活かしながら、キャラクターとして親しみやすさを足す設計にしたそうです。
ぽっこりしたお腹、くるくる動いて見える瞳、跳ねて目を引くしっぽ。
どれも「抱きしめたくなる可愛さ」を狙った具体的な工夫です。
抽象的に「親しみやすくしよう」ではなく、体のパーツひとつひとつに理由を持たせている。
ここまでやって、初めて時間が味方になります。
もう一度言います。
愛されるキャラクターを分けるのは「発表直後の見た目の評価」じゃありません。
発表されたあと、モックアップを作り、物語を与え、現場に足を運び続けたかどうかです。
ご当地キャラクターや企業のキャラクターを預かる立場の人ほど、ここを見誤らないでほしいとボクは思っています。
というわけで、実験は続きます。
では。
合同会社スタジオパッチ
代表 池本将

