どうも、合同会社スタジオパッチ代表の池本です。
今日は「キャラクターのWANTSとNEEDSの設計」についてお話しします。
ちょっと聞き慣れない言葉かもしれませんが、キャラクターを作る仕事をしていると、これが一番大事だと感じる場面が本当に多いです。
本日も結論からいきましょう。
見た目を決める前に、そのキャラクターが「何を欲しがっているか」と「本当は何を必要としているか」を決める。
この2つがズレているほど、キャラクターは魅力的になります。
見た目から入るとこうなる
これ、キャラクタービジネスで本当によくある話なんですが。
企業やご当地のキャラクターを作るとき、多くの現場が「かわいい見た目」から入ります。
色、フォルム、表情、そこから決めていく。
ボクも駆け出しの頃はそうでした。
可愛く描けたら「よし、できた」と思っていた時期があります。
でも生み出したキャラクターが60体を超えたあたりで、はっきり分かったことがあります。
見た目から入ったキャラクターは、初速はいいけど息切れするんです。
発表直後は「かわいい」の声が集まるのに、半年後には誰も話題にしていない。
イベントに呼ばれて手を振って、写真を撮られて、それで終わり。
運用する側も「次、このキャラクターで何をすればいいんだろう」と手が止まる。
なぜ動かなくなるのか
ここで生まれる疑問はシンプルです。
かわいく作ったはずなのに、なぜこんなに早く忘れられるのか。
ボクなりの答えは、そのキャラクターに「欲しいもの」がなかったから、です。
人は見た目に惹かれても、動かないものには興味を持ち続けられません。
じっと立って手を振っているだけのキャラクターと、「もっと海産物を知ってほしい」「もっと町を好きになってほしい」と何かを求めて動いているキャラクター。
後者にしか物語は生まれません。
そしてもう一段深い問題があります。
欲しいものだけを与えても、実はまだ足りないんです。
根拠は3つあります
1つ目。
WANTS(欲求)は行動を作ります。
「賞を獲りたい」「町を有名にしたい」、そういう分かりやすい目標があるキャラクターは、次に何をすればいいかが誰の目にも見えます。
展開を考える側も「じゃあ次はこの目標に近づくエピソードを」と手が動く。
WANTSがないキャラクターは、担当者が「うーん、次どうしよう」と頭を抱えることになります。
2つ目。
NEEDS(本当に必要なもの)は共感を作ります。
表面的には「有名になりたい」と言っているキャラクターが、本当は「誰かに認めてもらいたいだけだった」となると、急に人間味が出ます。
このWANTSとNEEDSのズレこそが物語の深さを作る、というのはピクサーの制作現場でも語られている考え方です。
完璧で迷いのないキャラクターより、「本当はこうしたいのに、こっちを選んじゃう」キャラクターの方が、見ている側の心にひっかかる。
3つ目。
このズレの設計は、実は運用やライセンス展開にも効きます。
愛知県で行政の案件をいくつか手がけてきた中で感じたのは、「このキャラクターは何のために存在しているのか」が明確なほど、グッズやイベントへの展開判断が早いということです。
「この企画、このキャラクターらしいよね」「いや、それは違う気がする」という会話が、担当者の間で自然に成立するようになる。
WANTSとNEEDSが決まっていないキャラクターは、この判断軸そのものがないので、毎回ゼロから議論が起きます。
もう一度、結論です
キャラクターの設計は、見た目から入らない。
「何を欲しがっているか」と「本当は何を必要としているか」、この2つを先に決める。
そしてこの2つは、あえてズラしておく。
そのズレこそが、キャラクターに命を吹き込む一番の技術だと、ボクは思っています。
というわけで、実験は続きます。
では。
合同会社スタジオパッチ
代表 池本将

