どうも、合同会社スタジオパッチ代表の池本です。
今日は「オープンIP戦略」の話をします。
企業や自治体が育てたキャラクターを、どこまで人に開放していいのか、という話です。
本日も結論からいきましょう。
キャラクターは「守る設計」と「開く設計」、両方をセットで用意して初めて育ちます。
どちらか片方だけだと、たいてい途中で止まります。
全面禁止という選択
分かりやすい例を挙げます。
2025年の大阪・関西万博の公式キャラクターは、発表直後は賛否両論でした。
ですが開幕後、評価は大きく変わりました。
面白いのはここからで、このキャラクターのデザインシステムは、クリエイターを縛るルールというより、いろんな人が関わって拡張していける「共創の土壌」として設計されていたそうです。
その開放性から、派生キャラクターまで生まれて人気になりました。
管理を強めるほど人気が出るわけではない、という好例だと思います。
「不」の正体
ここで、企業や自治体の担当者の気持ちを想像してみます。
「勝手に使われて変なグッズが出たら」「クオリティが崩れたら」「炎上したら」。
怖いですよね、正直。
ボクも行政の案件をいくつかディレクションしてきましたが、この不安は本当によく分かります。
だから多くの組織は、一番安全な道を選びます。
「使用は事務局の許可制、原則使用禁止」。
その結果どうなるか。
ロゴだけ作って誰も触れないキャラクターが、静かに倉庫の奥にしまわれていきます。
守ったつもりが、埋めてしまっているんです。
開くための設計
この「不」への答えが、①②の結論につながります。
全面禁止でも全面自由でもない、「管理された開放」という第三の道です。
具体的には、ガイドラインで「ここまでは自由、ここから先は要相談」というラインを一本引くこと。
色や比率を変えないこと、暴力的・性的な表現に使わないこと、営利での再配布はNGなど、守るべき最低限だけを決めておく。
それ以外は「どうぞ使ってください」と手を離す。
この「手を離す勇気」が、実はキャラクターを長生きさせる一番の近道だとボクは考えています。
根拠は3つあります
1つ目は、使っていい範囲が明確だと、使う側の心理的ハードルがガクッと下がることです。
グッズ制作会社や地域の店舗さんが一番困るのは「これって使っていいんでしたっけ」という確認地獄です。
窓口が一本化され、ガイドラインが公開されているだけで「あ、これなら大丈夫だ」と手が動きます。
2つ目は、二次創作や派生を歓迎する設計が、キャラクターの寿命そのものを延ばすことです。
派生キャラクターが生まれるということは、それだけ多くの人がそのキャラクターを「自分ごと」として触っているということです。
作り手が想定していなかった使われ方が、次のファンを連れてきます。
3つ目は、権利設計を先にやっておくことです。
ここで言う権利設計とは、契約書の話というより「誰が最終的にOK・NGを判断するか」を1人か1チームに決めておくことです。
判断者が曖昧なまま開放すると、現場は「誰かに聞かないと」で結局止まります。
「これは自分の判断で決めていい」と言える人を、あらかじめ1人立てておく。
これだけで、開放のスピードがまるで変わります。
というわけで、もう一度結論です。
キャラクターは、ガチガチに守るだけでも、無防備に開くだけでも育ちません。
最低限のガイドラインを引いて、それ以外は手放す。
この「守りながら開く」設計こそが、眠っているキャラクターを起こす一番現実的なやり方だと、ボクは思っています。
というわけで、実験は続きます。
では。
合同会社スタジオパッチ
代表 池本将

