どうも、合同会社スタジオパッチ代表の池本です。
今日は「AI×キャラクター制作」の話をします。
本日も結論からいきましょう。
AIはキャラクターの敵でも魔法でもありません。
使い方を設計できるかどうかで、味方にも敵にもなる道具です。
増えるAI生成キャラクター
最近、AIで画像を生成してオリジナルキャラクターを作る人がすごく増えています。
SNSを見ていても、AIで一発生成したキャラクター画像がたくさん流れてきますよね。
手軽だし、スピードも速い。
ボクもツールとしては普通に触っています。
ただ、その一方でこんな声も聞きます。
「AIで作った子に、ちゃんと魂って入ってるのかな」
「これ、権利的に大丈夫なのか」
「そもそも自分の仕事、これでなくなるんじゃないか」
クリエイターなら一度は感じる不安だと思います。
この疑問、実はピクサーが数年前にすでに答えを出しています。
PIXARが炎のキャラクターで直面した壁
2023年公開の「マイ・エレメント」で、ピクサーは炎のキャラクターを主人公にしました。
ここで大きな壁にぶつかります。
物理シミュレーションだけで炎を作ると、リアルすぎて本物の放火魔みたいに怖くなってしまったんです。
ボワッと燃え上がる映像を見て、スタッフが「これじゃ主人公になれない」と頭を抱えた、という話です。
そこでピクサーが取った手段が、AI(スタイル変換の技術)でした。
アーティストが手描きした「漫画っぽい炎」と、物理シミュレーションの炎をAIで合成する。
リアルな勢いはそのまま残しつつ、ピクサーらしい柔らかいデフォルメを乗せる。
手描きの温度と、計算の精密さ。
この2つを両立させる橋渡し役として、AIを使ったわけです。
PIXARのAI活用3つのコツ
1つ目は、AIが「表現の質を上げる道具」として機能したこと。
炎という素材は、リアルにすればするほど怖くなり、デフォルメすればするほど嘘っぽくなる。
このジレンマを解決したのがAIでした。
AIが作ったのではなく、アーティストの手描きを通す「翻訳機」として動いたのがポイントです。
2つ目は、効率化への使い方。
ピクサーはGPUを夜間に仮想化して活用し、1フレームのレンダリング時間を約5分から1秒まで短縮しました。
表現の質を落とさずに、制作スピードだけを上げる。
AI導入イコール質の劣化、ではないという事例です。
3つ目は、監督自身の言葉です。
「血の通わない新技術を扱うのではなく、感情を表現するためのツールとしてテクノロジーを使う」
この一言に全部詰まっています。
AIをアートの代わりに使うのか、アーティストの意図を通すために使うのか。
目的次第で、同じ技術が真逆の結果を生みます。
だからボクはこう考える
キャラクター制作でAIを使うこと自体は、もう止められる流れじゃないと思っています。
でも「AIに作ってもらう」と「AIを使って自分の意図を通す」は、似ているけど全然違う。
前者は誰が作っても同じ顔になりがちで、後者はちゃんと作り手の指紋が残ります。
ピクサーがやったのは完全に後者です。
手描きの温度を残したまま、計算の力を借りた。
AIで作ったキャラクターに魂が入るかどうかは、AIの性能の問題じゃないんですよね。
そこに作り手の意図と手が入っているかどうかの問題です。
というわけで、実験は続きます。
では。
合同会社スタジオパッチ
代表 池本将

