どうも、合同会社スタジオパッチ代表の池本です。
今日はONE PIECEの話をします。
本日も結論からいきましょう。
ONE PIECEが27年も続いているのは、絵の魅力だけじゃなくて「一人ひとりの欲求と仲間の関係性」が設計として強いからだと、ボクは思っています。
1997年に週刊少年ジャンプで連載が始まって、今も続いている作品です。
コミックスの全世界累計発行部数は5億部を突破していて、これは単一作者によるコミックシリーズとしてギネス世界記録になっています。
数字だけ見るとすごいですが、ボクが気になるのはそこじゃありません。
なぜ27年も、読者が離れずに付いてきているのか、です。
長寿作品への疑問
キャラクター設計の仕事をしていると、よく聞かれることがあります。
「長く愛されるキャラクターって、最初から完璧に作って見せてるんですよね?」
ボクの答えは、たぶん違います。
最初から部決まっているキャラクターは、むしろ動かしにくい。
ゾロだって、最初は「敵か味方か分からない剣士」でした。
ナミも、最初は仲間になるか読者に分からせない距離感で描かれていました。
設定を全部見せない、というのが実は設計の技術なんです。
じゃあ、完璧じゃないキャラクターが27年も愛される理由は何か。
そこに答えがあります。
「欲求」と「欠点」のセット
結論を言うと、ONE PIECEのキャラクターは全員「外的な目標」と「内的な欲求」がズレていて、そこに欠点がセットになっています。
根拠を3つ挙げます。
1つ目は「欲求の明確さ」です。
ルフィは「海賊王になりたい」という外的な目標を持っていますが、本当の欲求は「自由でいたい」ことです。
この2層がズレているから、物語が深くなる。
ピクサーの設計論でもよく言われることですが、キャラクターは見た目ではなく欲求と恐れで定義されます。
見た目の派手さより、この子は何を望んでいるのか、が先にある。
2つ目は「欠点が共感の入口になっている」ことです。
ゾロは方向感覚がない。
サンジは性に弱い。
完璧じゃないから、読者は「わかる、こういう人いる」と思える。
「こいつ、また道に迷ってる」と笑いながら、実は距離が近づいている。
これが欠点を隠すデザインだったら、こうはならなかったはずです。
3つ目は「仲間という構造がキャラクターを立たせている」ことです。
ルフィ一人だけを描いても、たぶんここまで続かなかった。
仲間それぞれの欲求がぶつかったり支え合ったりするから、一人ひとりの輪郭がはっきりする。
「お前がいなきゃ、この船は動かない」みたいなセリフが効くのは、関係性の中でキャラクターが定義されているからです。
ビジネスとしての強さ
もう一つ、ボクが注目しているのが数字の伸び方です。
バンダイナムコホールディングスのグループ全体のIP別売上高で、ONE PIECEは2025年3月期に1,395億円を記録していて、前期の1,121億円から伸びています。
連載開始から四半世紀を超えても、まだ売上が伸びている。
国内トイホビー事業だけ見ても、2025年3月期は942億円で、前期の603億円から急伸しています。
これは、キャラクター設計が期のライセンス展開に耐える構造を持っているから起きることだと思います。
新しいキャラクターが増えても、既存キャラクターとの関係性の中に自然に組み込める。
設計が「拡張できる形」になっているんです。
もう一度、結論を言います。
ONE PIECEが長く愛されているのは、絵の上手さや世界観の広さだけじゃなくて、キャラクター一人ひとりの欲求と欠点、そして仲間との関係性が設計として噛み合っているからです。
新しいキャラクターを考えるとき、見た目から入りたくなる気持ちはよく分かります。
でも先に決めるべきは、この子が何を望んでいて、何が苦手なのか。
そこが決まれば、関係性も自然に生まれてきます。
というわけで、実験は続きます。
では。
合同会社スタジオパッチ
代表 池本将

